本日は、花粉症の予防接種について、お話ししようと思います。
スギ花粉症の予防接種を知っていますか?
日本でのスギ林の面積は、全国の森林の18%、国土の12%を占めています。そのため日本では花粉症の患者さんの約70%の方がスギ花粉が原因と言われています。
そんな中、2020年にスギ花粉症の治療薬として認可された花粉症予防接種がありますが、受けたことがあるという人はいるでしょうか?
花粉症に対する抗体医薬として世界初だったこともあり、メディアでも取り上げられ注目されていた「ゾレア(オマリズマブ)」という皮下注射による治療薬です。これまで重いスギ花粉症に悩まされてきた人にとって、ゾレアは画期的な治療薬に違いないでしょう。
ところがスギ花粉症の誰もが希望して受けられる注射ではなく、重症な症状がある方に限られるようです。詳しくみていきましょう。
スギ花粉症の予防治療薬「ゾレア」とは
「ゾレア」という薬は、花粉症の症状を引き起こすIgE抗体に作用することで、アレルギー反応の元を抑えることができます。ヒスタミンを作り出す元になるIgEをブロックする薬ということになります。
「ゾレア」は既に出ている症状をすぐに軽減させるものではなく、投与数日後~2週間後に効果が出始めます。また効果は4週間ほど持続すると言われています。
治療の流れについてはステップやスケジュールを守って進める必要があり、2週間または4週間おきに「ゾレア」1~4本を投与(3か月間で3回もしくは6回程度)していきます。
治療費に関しては頻度と投与量の設定にもよりますが、保険適応の3割負担でも1回の注射が約5,000 〜 70,000円ととても高価です。「ゾレア」の治療費は受ける方によって異なりますので、詳細はこちらを参照してください。
しかし重症な症状で仕事や生活に大きな支障がある方であれば、その費用を投じてでも必要な治療になるでしょう。いずれにしても適切に判断を行うことが大切です。
ゾレアの効能又は効果
さて肝心な「ゾレア」の効果効能についてですが、製薬会社のwebサイトで次のように記載されています。
ゾレアの効能又は効果
ノバルティスファーマ株式会社
- 気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)
- 季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)
- 特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)
つまり、希望すれば誰もが受けられる治療ではないということが分かります。
また治療を受けるための必要条件としては、次のような記載があります。
- 前シーズンも過去の治療内容と症状により、スギ花粉症で重症な症状があった
- スギ花粉アレルギー検査が陽性である
- スギ花粉症の既存治療を1週間以上継続しても十分な効果が得られない
- 12歳以上で体重が20〜150kgの範囲
上記条件を満たす場合に限り、保険適応で受けることができるということです。
花粉症治療において大事なことは、自己判断だけで市販薬でシーズンを乗り切るよりも、耳鼻科などを受信して医師の診断の下で適切な治療を行うことなのです。そうでないと重症化して効果の高い治療を受けたくても受けられない、ということになってしまうのです。
該当するかもと思う方は、早速今シーズンからクリニックを受診しましょう。
治療時期について
投与期間は、スギ花粉飛散時期の2月〜5月の3ヶ月程度が目安になります。
血液検査などはそれより前から開始する流れになると思いますので、実際に花粉飛散が始まる前に受診するクリニックへ予め問い合わせて確認しておきましょう。
副作用について
「ゾレア」の投与で現れる副作用としては、注射部位の対して次のような症状があります。
- 赤くなる
- かゆくなる
- 腫れる
- 痛い
- 熱くなる
- 硬くなる
- 出血する
また気管支のけいれんや失神、呼吸困難、全身のかゆみなど、アナフィラキシーを疑う症状が現れた際は、受診した医療機関の医師や看護師に従う必要があります。
その他の予防方法
アレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法は免疫療法の1つで、アレルゲン(花粉の抽出液)を少しずつ体内に入れることによって、花粉抗原に対する反応を弱めていくという治療法です。
治療期間は3〜5年と長くかかりますが、高い効果が得られるというメリットがあります。
アレルゲン免疫療法については、こちらのページも併せてお読みください。
セルフケア – すぐにできる花粉症対策
花粉症予防のためには、お金もかけずに自分でできることもたくさんあります。
マスクやメガネをかける
花粉症のアレルギー反応は、花粉が目や鼻、口から体内に侵入することによって起こります。そのため直接的で簡単な予防は、目や鼻、口をガードして花粉に浴びないことです。
つまりメガネやマスクは、花粉症防御の大事な道具になります。最近は花粉症対策の専用メガネなども販売されていますが、通常のメガネでも十分効果を得られます。
外から帰宅したら
外出して家に入る前には、衣服や髪に付着した花粉を十分に払ってから部屋へ入るようにしましょう。髪をガードするのには、帽子も有効アイテムになります。
また部屋に入ったらうがいや洗顔の他に、鼻うがいや目の洗浄もしておくとよいでしょう。
家での生活
外から微量の花粉はどうしても部屋の中に持ち込んでしまうので、掃除機はまめにかけるようにします。
また花粉の飛散量が多い日は、窓などを開けずに閉めておきましょう。
もう1つ習慣として普段から花粉飛散情報をチェックして、飛散量の多い日の外出は控えるなどの対策も必要かもしれません。
おわりに
この特集ページでは、テーマごとに連載形式で投稿していきます。
こちらの特集では花粉症に関するさまざまな情報について、網羅的に記事にしてご紹介をさせていただきます。
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