本日は、東洋医学でのアトピーについて、お話ししようと思います。
東洋医学とはどんなもの?
東洋医学は中国・日本・朝鮮半島などの東洋で発展した伝統医学です。
東洋医学という場合、中国を発祥とする「中医学」と、中医学が朝鮮半島に渡って発展した「韓医学」、中医学と韓医学が日本に渡ってできた「漢方医学」の他に、インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」や西アジアの「ユナニ医学」なども含まれることがあるようです。
東洋医学でベースとしている考え方や治療方法についてご紹介していきます。
気血水(きけつすい)について
東洋医学では、人の体には「気・血・水」が巡っていると考えられています。
『気』は生きるために必要なエネルギーのこと、『血』は血液、そして『水』は血液以外の体液のことを指しています。下のイラストのように、東洋医学では「気・血・水」がどれ1つ不足せずに、体の中をスムーズに循環している状態を『健康』と考えているのです。
五臓について
自然界で全てのものが「木・火・土・金・水」の5つの要素に分類されるという五行説に当てはめて、伝統中医学では人の体の働きも五臓、「肝・心・脾・肺・腎」の5つに分類されると考えられています。
自然界が木・火・土・金・水の要素がぞれぞれにバランスを取っているように、五臓も「肝・心・脾・肺・腎」が互いにバランスを保つことで健康が維持されているので、バランスを崩してしまうと不調となって現れるという考え方です。
「五臓」はまだ解剖学的な知識がない頃に人の内臓を表した言葉なので、現代の西洋医学での臓器の認識とは異なるものなんですよ。
肝(かん)
肝臓や胆嚢
爪、目、涙、筋腱なども分類される
・自律神経系の働きを調整
・血液を貯蔵する
・筋肉を司る
・全身の新陳代謝活性化
・解毒
心(しん)
心臓や循環器系
顔面、舌、汗、脈なども分類される
・肝と協同して精神活動を司る
・血液を循環させる
・体温の調節
・脳や精神活動をコントロール
脾(ひ)
胃腸など消化器系全般
筋肉、四肢、口、唇、涎なども分類される
・消化や吸収のコントロール
・血液循環のコントロール
・飲食物の栄養を全身に輸送
(筋肉や皮膚など)
肺(はい)
呼吸器系全般
皮膚、体毛、鼻、喉、気管支なども分類される
・呼吸をコントロール
・気を体内に巡らせる
・水分代謝を調節
・皮膚の防御力を保持
腎(じん)
腎臓や膀胱
脳、骨、骨髄、耳、泌尿生殖器、肛門、毛髪、唾なども分類される
・泌尿器系や内分泌系に関わる
・人間の成熟と老化を司る
・水分の排泄を調整
・思考力や判断力の安定化
東洋医学の治療方法
東洋医学では病気の原因は「気・血・水」や「肝・心・脾・肺・腎」がバランス崩したことによるものと考えます。
「身体のバランス」や「精神と体のバランス」を取り戻すことで人が本来持つ自然治癒力を高めることで病気や症状の改善を目指します。
その治療法は、国家資格を有する者による鍼灸治療、漢方治療、手技治療(あんま・マッサージ・指圧)などです。
● 鍼灸治療
血液循環やリンパ液の循環を良くして自然治癒力の向上を図ります。
● 漢方治療
アレルギー性疾患や膠原病、自己免疫疾患などに対して西洋薬と漢方薬を併用しながら症状の改善や延命効果を図ります。
● 手技治療(あんま・マッサージ・指圧)
血液やリンパ液の循環を促し、症状の改善を図ります。
東洋医学で考えるアトピーの原因
西洋医学ではアトピーはその重症度によってステロイド/非ステロイドなど外用薬による対症療法が行われますが、西洋医学と東洋医学とでは発症の原因の考え方や治療のアプローチが異なります
手術や薬で悪いところへ直接アプローチする西洋医学に対して、東洋医学では体の内側へアプローチすることで病気を未然に防ぐという治療方法になるのです。五臓の働きを崩さないようにすることです。
西洋医学と東洋医学はどちらが良いということではなく、その時々で病気の状態や治療方針に合わせた選択をしていくことで治療の幅を広げられます。両者を融合させて、西洋医学で治りにくい場合には東洋医学を取り入れてみるなどの方法です。
東洋医学ではアトピー発祥の原因として、食生活や生活習慣、体の冷え、ストレスなどが考えられます。
現代の社会問題でもあるストレス社会や、添加物が入っている食事や不規則な生活などが、アトピーを引き起こす原因だと言われているのです。これらはアトピーだけに限らず、様々な病気を引き起こす原因になり得るものです。
また、温暖化や環境汚染などとも関連していると考えられています。
原因1 – ストレス社会
厚生労働省が実施した労働安全衛生調査によると、現代の仕事や職業生活に関することに強い不安やストレスだと感じている労働者が54.2%という結果が出ています。
そのストレスの内容としては、仕事量、仕事上の失敗、責任の発生、仕事の質、対人関係の順で上位に挙げられています。
また、疲れに対する別の調査では、20代~60代の男女500名のうち9割が疲れを感じているという結果だったとのことです。特に20代の若者に疲れが溜まっている傾向とのことです。
疲れの原因として上位に入るのは、睡眠不足、長時間労働、仕事と家事や育児の両立、人間関係などで、「肉体的な疲れ」よりも「メンタルの疲れ」の方が強く感じる人が多いとのことです。
このようなストレスを放っておくことは、メンタルヘルスの不調を引き起こすリスクがあるので注意が必要です。
原因2 – 食品添加物
食品添加物は、食品を日持ちさせたり腐敗や酸化を防ぐために使用する保存料や酸化防止剤などに入っているので、現代の食習慣において大抵のものに含まれてしまいます。
コンビニやスーパーに並ぶ食品で、食品添加物の入ってないものを探す方が困難です。
食品添加物が多く含まれる例として、カップ麺やコンビニ弁当、ソーセージやベーコンなどの食肉加工品、ポテトチップスやチョコレート、キャンディーなどの菓子、ジュース、菓子パン、缶詰、漬け物などがあります。
それらを日常的に多く摂りすぎることは、将来的に健康を害するリスクも高まるため注意が必要とされています。
またその他では、砂糖や醤油、味噌、ソースなどの調味料にも食品添加物は含まれています。
原因3 – 不規則な生活習慣
病気を未然に防ぐために大切なことに「規則正しい生活」があります。良質で十分な睡眠や、バランスの良い食事、適度な運動がその基本となる3つです。
日常生活でアトピーに良くないとされる食事はこれらです。
X 偏食や外食が多い
X 極端なダイエットによる食事制限
X 甘いものや肉類、油、脂肪の多い食事
また、食事以外で気をつけた方が良いとされていることはこれらです。
○ 寝具や部屋のダニ対策
○ 汗をかいた後にそのままにしない
(拭き取る、着替える、シャワーを浴びるなどの対策をする)
○ 皮膚への外的な刺激物に注意する
(日焼け、衣類の生地、シャンプー、石鹸、化粧品など)
体質改善で治療を目指す
人間はもともとアレルギーから体を守ろうとしている力がついているので、こうした不規則な生活や食生活を続けているということで、アレルギー物質が体の中に入ってきて、アトピーなどになりやすい状況になると言われているのです。
東洋医学では、アトピーの治療には「漢方」を飲んで体質を変える、という方法があります。
西洋医学のステロイド治療は効果が高いですが、長期に渡り使用することで副作用の心配もあり、使用量などの注意が必要です。
そのような場合、漢方を併用することでステロイド剤の減量が可能です。ステロイド剤を徐々に減らしながら漢方へ移行していき、最終的にステロイド剤をやめられる場合もあるのです。
漢方薬は自然の植物などから作られていて、自然治癒力を高める働きがあります。アトピーの人は免疫力なども下がっていますし、自然治癒力も弱まっていると考えられますから、漢方を利用して、自然治癒力などをアップさせられるとよいでしょう。
おわりに
この特集ページでは、テーマごとに連載形式で投稿していきます。
初回特集では、アトピーに関するさまざまな情報について、網羅的に記事にしてご紹介をさせていただきます。
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