本日は、アトピーの薬についてお話しします。
アトピー性皮膚炎は、この3つを基本とした対症療法になっています。
①薬物療法
②悪化要因の対策
③スキンケア
①薬物療法
アトピーに対する薬物療法は、対症療法として皮膚の炎症を抑え、かゆみを抑えるための治療です。
塗り薬、飲み薬、注射剤の他に、紫外線を使った治療などもありますが、副作用の少ない塗り薬を使うことが多いです。
外用療法(塗り薬)
アトピー用の塗り薬としては、大きく分けてステロイド外用薬の他に、タクロリムス軟膏やスキンケア用の保湿剤なども使用されます。
ステロイド外用薬には炎症やかゆみを抑える作用(抗炎症作用)があり、効果の強さがweak、medium、strong、very strong、strongestの5段階に分かれています。
保湿剤は、通常アトピー性皮膚炎の治療ではステロイド外用薬とともに処方されます。保湿剤によって皮膚をしっとりさせるだけでなく、かゆみを軽減する効果があるのです。
代表的な3種類の塗り薬を紹介しましたが、それ以外にもいろいろな塗り薬があります。
また新薬も続々と出てきていますので、副作用が少なくて、より効果の高いものが今後現れてくることも期待したいですね。
タクロリムス軟膏は異常な免疫反応を抑える薬(免疫抑制剤)です。ステロイドだけで効果が得られないときに併用することで治療の効果を高められます。ステロイドの副作用がある場合にも、ステロイドを減量するために併用することがあります。
全身療法
全身療法は外用療法だけで症状の改善が難しい場合にプラスで考慮される治療法で、飲み薬や注射、紫外線療法などがあります。
飲み薬の種類には抗ヒスタミン薬、ステロイドの飲み薬、免疫抑制薬などがあり、服用する期間は長くても3ヶ月程度に決められます。
注射は、生物学的製剤というバイオテクノロジーによって製造された薬剤を使用することで症状を改善します。外用療法や飲み薬で症状の改善が見られないケースに検討されます。
紫外線療法は医療機器で皮膚に紫外線を照射することで皮膚の炎症を抑えます。
②悪化要因の対策
ダニ、ほこり、花粉、ペットの毛や、汗、乾燥、刺激物などがアトピーを悪化させる要因になることはよく知られている思います。
アトピーの治療では、そのような症状を悪化させる原因をよく理解して、取り除くことが大切です。
そのために、生活の中で次にように気をつけるポイントがあります。
●寝具の天日干しや洗濯を週に1〜2回行う
●室内の風通しをよくする
●掃除機はできるだけ毎日かけて部屋を清潔に保つ
●床は畳や絨毯よりもフローリングが望ましい
●偏食を避け、野菜を中心としたバランスの良い食事で腸内環境を整える
●糖質や炭水化物の過剰摂取を避ける
●アルコールや香辛料などを控える
●汗をかいたらそのままにしない(シャワー、着替え、タオルで拭き取るなど)
●化学繊維やウールなどのチクチク・ゴワゴワして肌に刺激のある衣服は避ける
●夏は日焼け止めの対策をする
●冬は肌の乾燥防止に保湿剤などで対策をする
●ペットは清潔に保ち、寝室には入れない
●ストレスを溜めないように注意する
③スキンケア
乾燥を防いで皮膚のバリア機能を保つためのスキンケアは、アトピー治療には大事なポイントの1つです。スキンケアの基本は次の2点です。
清潔な皮膚を保つ
清潔を保つのには、入浴やシャワーで、汗や汚れを洗い流すことです。
その際は、低刺激性・低アレルギー性で添加物のない刺激の少ない石鹸を使用して、よくあわ立ててから指の腹で優しく洗いましょう。
また洗った後に、石鹸が肌に残らないようによく流しましょう。
体が温まるとかゆみが起きやすくなるため、熱いお風呂や長時間湯船につかるのは避けましょう。
皮膚のうるおいを保つ
皮膚がカサカサして乾燥した状態は、外からの刺激(細菌やホコリなど)が入りやすくなってしまいます。
保湿剤には皮膚の水分が逃げないように蓋をしたり、皮膚に水分を与える役目があります。入浴、シャワー後に、保湿剤を優しく手のひらでひろげるようにして塗ってあげましょう。
保湿剤には、水分を保持するモイスチャライザーと、皮膚から水分を蒸発させないエモリエントとの2種類がありますが、モイスチャライザーを中心に保湿を行います。
モイスチャライザー | 皮膚に水分を与え乾燥から守る吸湿性の高い水溶性の成分を補う。 尿素、ヘパリン類似物質、セラミド、水溶性コラーゲン、ヒアルロン酸、アミノ酸などが配合され角質層に直接働きかける |
エモリエント | 肌から水分の蒸発を防いで肌の水分を保持し、肌を柔らかくする。 ワセリン、プロペト、オリーブ油、椿油などの油性成分で角質表面に蓋をして水分蒸発を抑える |
おわりに
この特集ページでは、テーマごとに連載形式で投稿していきます。
初回特集では、アトピーに関するさまざまな情報について、網羅的に記事にしてご紹介をさせていただきます。
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