【アトピー特集】アトピーの食事で知っておくこととは?

本日は、アトピーと食事について、お話しさせていただきます。

目次

アトピーの食事療法とは

アトピーの治療方法は大きく分けて薬物療法、悪化要因の対策、スキンケアの3種類がありますが、そのうち「悪化要因の対策」の一環として「食事療法」があります。

アトピーの食事療法はバランスの良い食事を心がけ、アレルギーの原因となる食材などがある場合はそれを取り除いた食事にするという方法です。

食事の基本と注意点

基本的な食事面での注意点としては、次のような内容になります。

野菜を多く摂り、バランスの良い食事
5大栄養素である炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルを摂れるように、主食(炭水化物)、主菜(たんぱく質)、副菜(野菜類)を揃えた食事が基本です。

砂糖、添加物、香辛料などの刺激物、揚げ物などの油脂類を摂りすぎない
菓子などの甘いものや炭水化物を含む糖質の摂りすぎは腸内で悪玉菌を増やす原因になってしまいます。腸内環境のバランス崩れは、アトピー症状を悪化させる原因となります。
また、ラードやスナック菓子などに多く含まれるオメガ6(n-6)系多価不飽和脂肪酸の摂りすぎはアトピー症状の悪化につながるとも言われます。

和食を中心とした献立で薄味にし、肉類よりも魚介類を多めに摂取
魚などに含まれるオメガ3(n-3)系多価不飽和脂肪酸を週に3〜4回程度摂り、オメガ6(n-6)系多価不飽和脂肪酸とのバランスをよくすることが大事だと言われます。

よく噛んで食べ過ぎず、腹八分目
食べ物を咀嚼することで消化がしやすくなり胃腸での負担を軽くします。また脳の満腹中枢を刺激するため食べ過ぎや肥満の防止にもつながります。

免疫力を高める食事
アトピー性皮膚炎では、皮膚の『バリア機能』が低下してアレルゲン(アレルギー反応を引き起こすもの)が体内に入りやすくなります。アトピーの発症や症状には免疫力も関係していると言われており、予防や悪化防止のためには免疫力を高めることも大切です。

食物アレルギーについて

食物アレルギーは、ある特定の食べ物を食べたり触れたりすることでアレルギー反応が引き起こされる疾患です。
本来私たちの体には、食べ物を口にした場合にそれを栄養と認識して吸収する免疫機能が備わっています。ところが食べ物に対して体に害があるものと認識してしまい、過敏に免疫反応が働いてしまい、麻疹・湿 疹・下痢・咳などの症状を引き起こすのが食物アレルギーと言われるものです。

Ⅰ型アレルギー(即時型アレルギー、アナフィラキシー型)
原因となる食べ物を食べて主に2時間以内(多くは食べた直後から30分間)に、皮膚や粘膜、消化器、粘膜、呼吸器などに症状が現れるものです。

Ⅰ型アレルギー反応による代表的疾患には、アトピー型気管支喘息、アレルギー性鼻炎、じんましん、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシーショックなどがあります。

■ Ⅳ型アレルギー(遅発型フードアレルギー、細胞性免疫、ツベルクリン型)
原因となる食物を食べて数時間~数日経ってから症状が現れるのに時間がかかります。現れる症状も頭痛、下痢、肌荒れ、イライラ、疲労感など多彩なため、アレルギーだと気づきにくいことも特徴です。

Ⅳ型アレルギー反応による代表的疾患には、慢性甲状腺炎、接触アレルギー、ツベルクリン反応、移植拒絶反応などがあります。

食物依存性運動誘発アナフィラキシー(Food- dependent exercise-induced anaphylaxis :FDEIA )
特定の食べ物を食べてから2時間以内(大部分の場合)に運動をすると激烈なアレルギー反応が現れるものです。入浴でも症状が出る場合があります。症状が出てしまった場合にはすぐに対処が必要です。救急車を呼びましょう。

口腔アレルギー症候群(Oral Allergy Syndrome:OAS)
花粉症を患っている方が特定の果物や野菜、大豆(主に豆乳)などを食べた後に、唇や口の中、喉などの粘膜にかゆみやしびれなどのアレルギー反応が引き起こされるものです。

アトピーの症状が出る人は遺伝による原因が大きいですが、何らかのアレルギーを持っている(環境要因)ことも考えられますから、そのアレルギーの原因を出来るだけ食べたり触れたりしないうようにすることが大切です。

発症の原因となりやすい食物

  • 鶏卵、魚卵類
  • 牛乳
  • 小麦
  • 木の実類
  • ピーナッツ
  • 果物類
  • 甲殻類

鶏卵、牛乳、小麦は0歳から発症することが多く、成長すると共に木の実類や果物類などでも発症する割合が増え、18歳以上では甲殻類や大豆、魚類でもみられるようになります。

食物アレルギー表示制度

食物アレルギー患者がその症状を引き起こす原因となる食物を摂取してしまうと、ときに命の危険に晒されることもあります。

そのため食品表示基準では、アレルゲンとなる材料の表示が義務付けられているものがあります。

表示義務対象の特定原材料(8品目)

えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生(ピーナッツ)

表示推奨対象の特定原材料に準ずるもの(20 品目)

アーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・カシューナッツ・キウイフルーツ・牛肉・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・豚肉・まつたけ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン

症状を抑え、免疫力をアップする食事

アトピーの食事では症状を起きにくい体質にすることや、免疫力・自然治癒力をアップさせるような食品を積極的に摂取することをお勧めします。

免疫力をアップさせるためには、腸内環境を整えることが大切です。喘息や花粉症、アトピー性皮膚炎などアレルギー性疾患の発症は、腸内環境と大きく関わっていることが指摘されているからです。

腸内環境バランスを整えるためには善玉菌を増やす食事が大事です。
善玉菌を増やす食事の例はこれらです。
●発酵食品:ヨーグルト、キムチ、味噌、納豆など
●食物繊維が多い食べ物:豆類、イモ類、キノコ、海藻など
●オリゴ糖が豊富な食べ物:ハチミツ、玉ねぎ、ねぎ、大豆、アスパラガスなど

またアトピーの症状緩和には、腸内で酪酸を作る「酪酸菌」を増やすことが良いことがわかってきています。その酪酸菌を増やすためには、酪酸菌の好物である『水溶性食物繊維』をたくさん摂取する必要があります。

例えば、水溶性食物繊維はこれらに多く含まれています。
●海藻:わかめ、めかぶ 等
●穀類:オートミール、そば、ライ麦パン
●野菜:ゴボウ、納豆、アボガド、ニンジン

参考サイト:
酪酸を用いたアトピー性皮膚炎の治療と症例研究を開始 [日本先進医療臨床研究会]

いろいろと紹介しましたが、アトピーの人の食事療法は基本的には医師の指導の下で行うことが良いと思いますし、赤ちゃんのアトピーの場合の食事については、保健師さんなどがしっかりと栄養指導をしてくれると思いますので、専門家のアドバイスをもらって実行してみてはいかがでしょうか。

体質改善でアトピー症状のでにくい体質に

アトピーの基本治療はステロイドを使うことですが、抵抗があるという人も多いと思います。

ステロイドは基本的にアトピーの症状を改善させますが体質自体の改善とは少し異なります。アレルギー症状を起こしやすい体質自体を改善していくには、食事内容を見直していくことが大切です。

アトピーの治療は、ステロイドなどの薬物療法と、食事や生活環境の見直しとの両方が必要です。症状の段階に合わせて、医師の指示の下でその配分を少しずつ変えながら治していくことをお勧めします。

食事療法だけで効果が出るというわけではありませんので、今までの乱れた食生活を改善させて、できるだけアレルギー症状が出にくい体質にするための食事を心がけてみてはいかがでしょうか。

おわりに

この特集ページでは、テーマごとに連載形式で投稿していきます。
初回特集では、アトピーに関するさまざまな情報について、網羅的に記事にしてご紹介をさせていただきます。

当サイトのこれらの記事が、悩まれている皆さんに少しでもお役に立てれば、当サイト管理者としても、とても嬉しい限りです。
ぜひ、他の記事もご覧頂きながら、引き続き当サイトを、よろしくお願いいたします!

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