鎖骨にしこりのようなものが!?
しこりといっても色んな種類があるみたいなので、悪いしこりではないかと心配になります。
大きさも人それぞれだと思いますし、痛みのあるないも気になるところです。
今回は、鎖骨にしこりができる原因を調べてみました。
鎖骨にしこりができる原因
鎖骨にしこりができる原因はこの7つの可能性があります。
1.リンパ節腫脹
2.癌
3.悪性リンパ腫
4.結核
5.頸性神経筋症候群
6.胸郭出口症候群
7.粉瘤腫
それぞれ見ていきましょう。
リンパ節腫脹
リンパ節腫脹で鎖骨にしこりができる原因
リンパ節とは、全身を流れるリンパ液のフィルターのようなものです。
リンパ液は体内に侵入したウイルス・細菌・老廃物などを回収し、全身をめぐっています。
ウイルス・細菌感染症を起こした時などにリンパ節への負担が多くなり、リンパ節が炎症を起こすことをリンパ節炎といいます。
リンパ節は、耳の後ろや下・首・鎖骨・鼠径部(足の付け根前側)・脇の下・気管支・腸などにあります。鎖骨のリンパ節炎を起こすことで、鎖骨にしこりができます。
症状
・リンパ節炎によるしこりの特徴:大きいものは、押すと痛みを感じることが多い
・感染症による場合は、それぞれの感染症の症状を伴う。(発熱など)
何科?治療法は
内科などを受診し、検査治療を受けます。
自分での対処
・原因になっている感染症を治すために、主治医の指示に従って治療・療養をします。
リンパ節腫脹の注意点
風邪などの感染症によるリンパ節腫脹は、風邪が治るとともに消失します。
リンパ節が腫れる原因の中に、「悪性リンパ腫」という血液の癌の場合があります。風邪などの感染症を起こしていないのに、リンパ節の腫れが継続する場合は、早めの病院受診をおすすめします。
癌
癌で鎖骨にしこりができる原因
リンパ節は全身を巡っているため、臓器の癌細胞がリンパ節転移したり、リンパを介して他の臓器に転移したりすることがあります。
男女とも肺・喉頭・甲状腺・舌は、(女性は乳・子宮・卵巣なども)臓器とリンパが相互に転移を起こしやすい場所です。
症状
・痛みを伴うリンパ節の腫れ
・押しても動かないリンパ節の腫れ
・左鎖骨上の硬いしこり、だんだん大きくなるしこり
何科?治療法は
内科などを速やかに受診して治療を受けます。
癌の注意点
リンパ節の癌に特徴的な症状は、
・痛みを伴うリンパ節の腫れ
・押しても動かないリンパ節の腫れ
・左鎖骨上の硬いしこり、だんだん大きくなるしこり
このような症状がある時は、速やかに内科などを受診します。
ただし、検査を受けなければはっきりと診断がつきません。気になる症状がある場合は、速やかに病院受診します。
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫で鎖骨にしこりができる原因
悪性リンパ腫は、リンパ球が癌に変異した病気です。血液の癌の一つです。
通常のリンパ節の大きさは、2㎜程度ですが、ピンポン玉大から5~10㎝にまで大きくなったり、数が増えることがあります。
症状
・リンパ節の腫れ(首・太ももの付け根・脇腹などが好発部位)
・一週間以上続く発熱
・寝汗
・全身倦怠感
・しこりの特徴:痛みを伴わない・硬く押しても動かない・だんだん大きくなる(1.5㎝以上が悪性リンパ腫の目安) 場合が多い
何科?治療法は
内科などを速やかに受診します。悪性リンパ腫の疑いが強い場合は、血液内科などで詳しく検査をします。
悪性リンパ腫の注意点
リンパ系は全身をめぐっているため、全身どこにでも発生する可能性があり、非常に進行の早い癌です。
気になる症状がある時は、速やかに病院受診します。
結核
結核で鎖骨にしこりができる原因
結核は、結核菌によって起こる感染症です。現在でも、新たな発病患者・死者が出ています。
初期症状は風邪と似ていますが、咳・痰・微熱が2週間以上続きます。
発病者の咳やくしゃみにより、空気感染します。
(感染後、体内で結核菌が活動し結核症状を起こした人を発病者といいます。)
結核菌によるリンパ節炎のため、首や鎖骨のリンパ節にしこりができることがあります。
※自分の治療のためにも、周りに感染拡大しないためにも、早めに病院受診します。
(「結核治療が可能な病院」を受診する必要があります。わからない場合は、最寄りの保健所に問い合わせて確認します。)
頸性神経筋症候群
頸性神経筋症候群で鎖骨にしこりができる原因
頸性神経筋症候群とは、首の後ろの筋肉に過剰な負担がかかることで、頭痛・肩こり・めまい・不眠などの症状が起こる状態です。
首の筋肉が異常に緊張した状態になっています。
しこりはない場合もありますが、鎖骨部分に固まったような違和感を感じることがあります。
長時間のパソコン作業による下向き姿勢・事故によるむち打ちなどが主な原因です。
頸性神経筋症候群の注意点
むち打ち症の場合は、整形外科などを受診して、検査・治療を受けましょう。
パソコン作業など日常生活動作が原因の場合は、日常生活の中で首の筋肉の緊張を和らげるように心がけます。
(首・肩・腕・全身のストレッチをゆっくりと行う、首や肩を冷やさないように衣類や室温で調整をする、など)
胸郭出口症候群
胸郭出口症候群で鎖骨にしこりができる原因
胸郭出口症候群とは、腕や肩甲骨周辺の神経・鎖骨付近の血管が、筋肉や骨で圧迫されることで起こる症状のことです。
腕から指先のしびれ・入力困難などの症状があります。
鎖骨付近の筋肉にしこりができることもあります。
なで肩の女性や頻繁に重いものを運ぶ人に多く見られます。
整形外科でX線検査などで診断します。重いものを担ぐ動作などを避け、自然治癒を待ちます。
ビタミンB1内服薬や消炎鎮痛剤を処方されることもあります。状態によっては、手術適応になる場合もあります。
粉瘤腫
粉瘤腫(アテローム)とは皮膚の良性腫瘍の一種で、全身どこの皮膚にもできるおできのようなものです。
顔・頭・首・耳の後ろ・脇の下・背中・お尻などが好発部位です。
本来は肌のターンオーバーによって剥がれ落ちるはずの古い角質が溜まった物ですが、できる原因は、はっきりわかっていません。
徐々に大きくなり、色が黒や黄色がかってくることもあります。
通常は痛みやかゆみはありませんが、細菌感染すると膿が溜まって赤く腫れて痛みを伴います。膿が出てくると、臭いを発します。
炎症を起こしている時には、皮膚科専門医を受診します。
ネット上で鎖骨にしこりができた人の声
〇左首と右の鎖骨のところにしこりがあります。
首の方は、かなり前からあります。鎖骨のところのしこりは、3週間ほど、前からあります。両方とも1センチくらいだと思います。
両方とも動きます。特に痛みはありません。
あと、首がズキズキと痛んだりする時もあります。
これは、悪性リンパ腫などの大きな病気の可能性は、ありますか?
すごく心配です。
●お返事
首・鎖骨のしこり、原因がわからないと心配ですよね。
しこりができたきっかけに、風邪など感染症にかかったなど思い当たることがなければ、大きさ・できてからの期間を考えると一度病院受診した方が安心かと思います。
私なら、悪性リンパ腫や癌の検査もできる血液内科や外科のある総合病院を受診します。
医師に相談して可能なら、腫瘍マーカーなどの血液検査や乳癌検診も受けます。
検査で異状なければ安心ですし、異常があれば早期治療が受けられますので。
早く原因がわかり、適切な対処ができるといいですね。
参考書籍
しこりをみたらどう考える?: 日常診療で遭遇するしこりへの対応法
内容(「BOOK」データベースより)
整形外科医だけでなく、プライマリケアにあたるすべての医師が日常診療でしばしば遭遇する「放っておいてもよいしこり」を、自信をもって診断するにはどうしたらよいかを実例をあげて解説。めったにみることはない悪性軟部腫瘍の一部についても実例をあげている。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
生越/章
新潟県十日町市出身。1962年生まれ。1981年新潟県立十日町高等学校卒業。1987年新潟大学医学部卒業・同大学整形外科入局。1992年新潟大学大学院医学研究科博士課程入学。1995年米国Mayo Clinicに留学(Dr.Unni、Dr.Simに師事)。1996年新潟大学大学院医学研究科博士課程修了。1997年県立がんセンター新潟病院整形外科に勤務。2000年新潟大学医学部助手。2001年新潟大学付属病院講師。2004年新潟大学大学院整形外科学分野助教授(准教授)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
最後に
鎖骨にしこりができる原因は7つあることがよく分かりましたね。
鎖骨にしこりができる症状を治すためには
・病院を受診して、検査・治療を受ける。
・肩・首に過剰な負担をかけないように心がける
(パソコン作業時の姿勢に気をつける、時々、首・肩などのストレッチをするなど。)
以上のことが大切です。