背中がつる?!経験したことない人は想像できないかもしれません。
ちょっとした動作で、急に背中ががつってしまう、あの痛みはつらいですよね。
動きが止まりますし、体が硬直して何もできなくなります。
姿勢が悪いまま生活していたり、運動不足が原因でも起こるようですが、他にも様々な可能性があるようです。
今回は、背中がつる原因を調べてみました。
背中がつる原因
■ 背中がつる原因はこの7つの病気が考えられます。
1、脊椎の病気(変形性脊椎症・脊柱側弯症)
2、すい臓の病気
3、ぎっくり背中
4、多発性筋炎
5、膠原病
6、肝臓の病気
7、心臓・胃・十二指腸の病気
それぞれ見ていきましょう。
脊椎の病気
概要
まず、変形性脊椎症は、
背骨を構成している脊柱(脊椎が柱上につながったもの)や椎間板が変形すると椎間板の上下にある、椎体と呼ばれる骨が硬くなったり棘(とげ)ができたりします。
このことで、神経や脊椎を圧迫し痛みを生む症状です。
脊柱側弯症は、
脊柱が横に曲がっている症状です。多くの場合は脊柱全体のねじれをいいます。
脊椎の病気の原因
変形性脊椎症
・老化(老化によって軟骨がすり減り関節がうまくかみ合わない)
・重労働
・スポーツ
背骨への負担が原因ともいわれています。
脊柱側弯症
・原因がわかっておりません
・遺伝との関連性も明らかになっておりません
症状
変形性脊椎症
・足の痛み
・足の筋力低下
・知覚障害
・自覚症状がないこともあります
脊柱側弯症
・肩のラインが左右非対称
・助骨のあたりが膨らむなど左右の身体のバランスに違和感
何科?治療法は?
整形外科を受診します。
薬物療法や理学療法、脊柱側弯症は装具での矯正などを行います。
自分での対処
変形性脊椎症は中年以降になると誰でもかかりやすく、腰をよく使う人は一般的な人と比べ背骨の負担が大きいと考えられます。
脊柱側弯症は学童期から思春期で発症することが多く学校の健診で発見されます。
男子より女子が多いといわれています。
脊椎の病気の注意点
変形性脊椎症は悪化するとヘルニアになったりします。腰・首・背中に違和感がある人や、痛みがある人は病院を受診してください。
脊柱側弯症は早期発見で症状の発見は防げます。
しかし重症化すると心臓や肺を圧迫し、機能障害が起こることもあります。
すい臓の病気
概要
すい臓の病気からも背中に異変を感じます。ここでは「すい炎」について説明します。
すい臓はたんぱく質を始めとして食べ物を消化、分解をするという色々な酵素を産生し、分泌する臓器です。
すい炎はすい臓から分泌されるすい液の消化酵素によって、すい臓自体が消化されて炎症を起こす病気です。
すい炎の原因
・アルコールの摂取
・脂肪分の多い食事
とされていますが原因ははっきり解明されていません。
稀に胆石が原因のこともあります。
症状
・みぞおちから左わき腹の上部にかけて痛む
・痛みは左肩から背中の左側にかけて広がりやすい
・発熱
・食欲不振
・吐き気
・嘔吐
・下痢
・腹部膨満感
・みぞおちに固いしこりがある
何科?治療法は?
消化器科を受診します。
薬物療法で、大量の輸液、鎮痛剤、抗菌薬、消化酵素薬、タンパク分解酵素薬の投与があります。
安静にして絶飲食です。
自分での対処
・アルコールの摂取を控える
・脂肪分の多い食事は控える
・暴飲暴食はしない
すい炎の注意点
胃薬を飲んでも治りません。
急性すい炎から慢性すい炎になる場合もあります。
膵がんによっておこる場合もありますので病院で診断を受けましょう。
ぎっくり背中
概要
何の前触れもなく突然に背中に痛みが走ることの総称をいいます。
背中がつるような感覚があったり、寝違えた時のような一定の姿勢をとるときに痛みが強くなったり、その時々によって痛み方は様々です。
よく「ぎっくり腰」は聞かれると思いますが、その症状が背中に現れることが、ぎっくり背中です。
ぎっくり背中の原因
・運動不足
・精神的ストレスで緊張
・猫背
・背中の筋肉の筋繊維や筋肉を包む筋膜が微細断裂を起こす
症状
背中に
・激痛が走る
・つったように痛む
・角度によって痛みを感じる
・息を吸い込むことができない
・起き上がることもできない
また、痛みは軽いものから重いものまであります。
何科?治療法は?
整形外科を受診します。
ぎっくり背中と分かれば安静にして患部を冷やす対症療法です。
自分での対処
普段からストレッチを取り入れ背中の筋肉が凝り固まらないようにします。
なってしまうと1週間で治るといわれていますが、安静が何よりの対処です。
ぎっくり背中の注意点
ぎっくり腰同様再発をおこしやすいです。
疲労がたまりすぎないようにします。
多発性筋炎
概要
筋肉の障害により(炎症や変性)により力が入りにくかったり痛みを感じます。
骨格筋に原因不明の炎症が生じ、対称性筋力低下とそれによる障害をおこします。
多発性筋炎の原因
原因は不明とされていますが、何らかの免疫異常と考えられています。
症状
・体がだるい
・疲れやすい
・筋肉の痛みがある
・高いところに物を持ち上げられない
・体の力が入らない
・立ち上がるのが困難
・階段の登り下りがつらい
・言葉を話しづらい
また皮膚筋炎を併発している場合には
・まぶたに赤紫色の発疹がある
・手の指や肘、膝などが赤くカサカサする
・首や胸、肩、背中などの皮膚に赤み(紅斑(こうはん))がある
というような症状が出ることがあります。
何科?治療法は?
まずは、皮膚の症状がなければ内科、皮膚症状がある場合は皮膚科を受診しましょう。
検査で多発性筋炎を疑われた場合には、膠原病内科の受診となります。
治療では主に内服ステロイドが使用され、症状を観察しながら投与量を減らしていきます。
皮膚症状だけの場合にはステロイド外用薬が使われます。
膠原病
概要
人の体に外部からウイルスや細菌など病気の原因となるものが侵入しようとした時に、排除してくれるのが「免疫」という防御システムなのですが、何らかの原因で免疫システムが崩れ自分の免疫が自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患です。
男性より女性の方が多いです。
膠原病の原因
原因は不明とされています。
・体質の遺伝
・免疫異常
・細菌感染
・紫外線
・ストレス
・アレルギー
などもいわれています。
症状
・長く続く微熱
・発疹
・関節痛や筋肉痛
・朝起きた時に体のこわばり
・指先が紫色などに変色
・倦怠感
何科?治療法は?
膠原病の専門医、膠原病内科を受診しましょう(病院によってリウマチ科や皮膚科などの場合もあります)。
また膠原病の専門医は大学病院などに在籍していることが多いので、まずはかかりつけ医や近くのクリニックで紹介状を書いてもらうとスムーズに受診ができます。
また膠原病は一般的にステロイドによる治療が行われます。
肝臓の病気
概要
背中の右側に痛みを感じる場合は肝臓の病気の可能性もあります。
ここでは「肝臓がん」について説明します。
日本人に非常に多いがんで肝臓にできる悪性腫瘍です。
男性に多いです。多発性と転移性の2つに分かれます。
肝臓がんの原因
・慢性肝炎や肝硬変から肝臓がんへなる場合
・自己免疫疾患
・薬剤性肝障害
何科?治療法は?
痛みの原因が肝臓の可能性がある場合には、内科、消化器外科を受診しましょう。
治療方法は病気の種類によりますが、肝臓癌の場合は進行度によりますが、手術による切除や抗がん剤による療法、放射線療法、肝移植などが選択肢の1つです。
肝臓の病気の注意点
肝臓は「沈黙の臓器」とも言われ初期症状で痛みを感じることはほとんどないため、痛みの原因がもし肝臓の場合には、病気が進行している危険があります。
肝臓の病気の恐れがある場合は、放置せず早期に受診してください。
心臓・胃・十二指腸の病気
概要
心臓は狭心症(心臓に送る血液が不足する)、
胃は胃痛や胃潰瘍、
十二指腸は十二指腸潰瘍(胃酸の分泌過剰によって起こります)によって背中に違和感を生じます。
心臓・胃・十二指腸の病気の原因
心臓(狭心症)
・コレステロールの摂りすぎ
・糖尿病
・高血圧
・高脂血症
・喫煙
・肥満
・運動不足
・ストレス
・加齢
胃痛や胃潰瘍、十二指腸潰瘍
共通して
・ストレス
・食生活
・ピロリ菌
ネット上で背中がつることが原因のお悩みの声
左背中の痛みについて
父が昨日から腰痛を訴えていたのですが、今日の8時頃から左背中(肩甲骨から下)に、つるような痛みが走り寝ている体勢から起き上がれないと言っています。
先ほど起き上がらせてみたのですが、いつもの父からは想像もできないくらい大きな声を上げて痛がっていました…
立った姿勢では痛みはそれほど強くないとのことです。(多少の痛みはあるようです)吐き気、熱、腹痛、心臓の痛みはなく、尿も正常だそうです。以前の検診で不整脈だと言われたそうです。
腰痛を訴え始める前の日はお酒をたくさん飲んだそうです父はもともと腰痛持ちなので、腰を痛めることはよくあったのですが、今回は特に酷いようなので、何かの病気ではないかと心配になり、質問させていただきました。
この症状に当てはまる病気があれば、教えてください。
●お返事
普段、大きな声で痛がることのないお父さまが、大きな声を出して痛がる痛みとはいったい何だろう・・・と、とても心配になりますね。いつもと様子が違うとのことで、家族さんもさぞかし心配でしょう。
以前の検診で不整脈、前日から腰痛、たくさんの飲酒をされたとのことなので、内臓疾患、膵炎の症状が考えられます。
私なら、消化器科を受診します。
背中が痛くなる疾患は他にもありますので、今は吐き気や発熱や腹痛や胸痛がなくても、後から出てくる場合もありますので、早い目に病院へ受診されることをおすすめします。
早く原因が分かり症状が落ち着くといいですね。お大事になさってください。
最後に
背中がつるといっても単なる筋肉痛の場合もありますが、そうでない病気であることも分かりました。
筋肉痛とそうでない痛みの区別はつきにくいかもしれません。
しかし、行動や食事など思い出していくと何らかの原因があります。
大事に至る前に「何ともなくて良かった」という感じで、病院を受診されてみてはいかがでしょうか?