ノロウイルスは冬に流行する感染性胃腸炎のひとつです。私の勤務していた職場でも一人の患者の嘔吐から、課の中で大流行してしまったことがあります。
感染経路も多岐にわたるのがノロウイルスの怖いところです。
ここでは、ノロウイルスは空気感染する!?期間中は要注意!についてご説明していきます。
合わせて、正しい嘔吐物・下痢便などの処理法や、部屋の消毒方法もご覧ください。
ノロウイルスは飛沫感染から空気感染する?
ノロウイルスは感染経路は、「食品媒介感染」「接触感染」「空気感染」「飛沫感染」の4つです。
・食品媒介感染
ウイルスに汚染された食品(生牡蠣などの二枚貝)を,生または十分に加熱しないで食べた場合に感染します。
患者が、調理中に手指等を介して食品や水を触り,その食品を食べたり飲んだりした場合に感染します。
・接触感染
患者の便や吐しゃ物に触れてしまった場合や、患者がさわった場所に触れてしまった場合に、その菌が口に入ることで感染します。
・空気感染
患者の吐しゃ物の処理が不十分な場合,それらが乾燥してチリやほこりとなり空気中を漂い,その菌が口に入ることで感染します。
・飛沫感染
患者の咳やくしゃみなどが空気中に飛び散り、その菌が口に入ることで感染します。
2006年豊島区のホテルでの空気感染実例
2006年12月に発生した東京都豊島区のホテルで発生した空気感染の集団ノロウイルス感染症が有名です。
このホテルで発生した集団感染症は、ノロウイルス患者がホテルで嘔吐をし、その日にそのレストランで食事をしていた126人中52人が感染
性胃腸炎を発症しました。
吐しゃ物に接触する可能性の低い場所にいた人も感染性胃腸炎を発症しました。
嘔吐物・下痢便などの処理法
嘔吐物は3m四方に広がります。処理は1人では大変なので、2人以上で行うようにしましょう。
ここでは嘔吐物の処理について説明します。
用意するもの
・バケツ(あらかじめ4リットルの所に線を引いておきます)
・次亜塩素酸ナトリウムの原液。
濃度0.1% 1000ppm(水1リットルにつき20ml(キャップ1杯)が必要です。よって4リットルの場合はキャップ4杯が必要です。)
・厚紙などのへら
・新聞紙
・スリッパ
・ボロ布
・使い捨て三点セット(手袋・エプロン・マスク)手袋はひとり2セット 三点セットは2人分以上用意すること。
・ごみ袋(5枚以上。)
嘔吐物処理の方法
①みんなを避難させます。
②消毒液をつくります。
③扉を開けて換気を行います。
④三点セット(エプロン、手袋2枚、マスク)を身にまとい、手袋は2重に装着します。
⑤新聞紙とビニール袋を持って嘔吐者へかけつける ビニール袋を嘔吐者の口にあててもらいます。
⑥嘔吐物の上に新聞紙をかぶせます。
⑦嘔吐者の元へ行き着替えさせます ごみ袋を2枚もっていきます。
⑧バケツの中に次亜塩素酸ナトリウムの消毒液をつくります。あらかじめ4リットルのところに線が引かれていたバケツに消毒液を足し次亜塩素酸を作ります。バケツの中には新聞紙を入れます。
⑨嘔吐物から3m離れた場所にバケツを置き、消毒液に浸した新聞紙を敷き「玄関」にします。その外にスリッパと消毒液の入ったバケツとごみ袋を2枚設置しておきます。
⑩嘔吐者の着ていた服と外側の手袋をごみ袋に入れ口をしばります。
⑪嘔吐者を消毒液に浸した新聞紙「玄関」に連れていき、靴をスリッパに履き替えさせ、靴をごみ袋に入れて口をしばります。
⑫嘔吐者の着ていた汚れた服と靴をあらかじめ設置しておいたごみ袋に入れ、同じごみ袋にエプロン→手袋→マスクの順に入れ、素手で口をしばります。
⑬このごみ袋を持って、嘔吐者と一緒に部屋を退出します。
⑭処理者も嘔吐者も退出後は液体石鹸でよく手を洗います。
室内の消毒方法
①嘔吐物の上に敷いた新聞紙の上から、消毒液に浸した新聞紙を静かにかぶせます。
②その新聞紙を厚紙などのへらで集めて静かに持ち上げ、ゴミ袋の中に滑り込ませて捨てます。これを何回か繰り返します。
③目に見えない嘔吐物をふきとります。およそ3m四方を目安に、消毒液にひたしたボロ布や新聞紙等でふきとります。外側から内側へふき取るようにします。
④汚染域をでるときは、必ず消毒液を染み込ませた新聞紙(玄関)から出るようにします。
⑤嘔吐物をふき取った新聞紙やぼろ布と外側の手袋を玄関横のごみ袋に捨てます。
⑥嘔吐物から3m範囲に消毒液にひたした新聞紙を敷き、残ったウイルスを死滅させます。およそ10分浸せば完了です。
⑦消毒液で浸した新聞紙と玄関と自分たちのエプロン→手袋→マスクの順にごみ袋に捨てていきます。
⑧ごみ袋をしばり風通しの良い所においておきます。
⑨最後に液体石鹸でよく手を洗って嘔吐物処理は終わりになります。
ノロウイルスの潜伏期間~感染期間は?
潜伏期間は、24~48時間です。
症状は、
激しい吐き気・嘔吐、下痢(水様便)、腹痛と37から38℃ほどの発熱です。
通常、症状が1から2日続いた後、自然治癒し、後遺症もありません。まれに感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状の場合もあります。
しかし免疫力の低い乳幼児やお年寄りの場合は症状が重くなったり、長引くことがあるので注意が必要です。
最後に
ノロウイルスは「食品媒介感染」「接触感染」「空気感染」「飛沫感染」で感染することが分かりましたね。
患者を看護する人は、普段から、正しい処理法と消毒法をしっかりマスターして、感染を広げないようにすることが必要です。
また二次感染予防のために看護する者もノロウイルスの患者も、液体石鹸でよく手を洗うことが大切です。
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