溶連菌は妊婦さんには要注意な感染症です。
「猩紅熱」の名前で恐ろしい伝染病とされていた、溶連菌感染症。幼児や児童の間でほぼ1年中流行しています。
代表的な症状は発熱、口の中の赤い点状紅斑、イチゴ舌、全身の発疹などがあります。
幼児や児童を持つお母さんの中には、今まさに妊娠しているという方も多いのではないでしょうか。
今回は、妊婦さんが溶連菌感染症にかかったら? 胎児への影響は? 薬は飲めるの? についてご説明します。
溶連菌の妊婦への影響
溶連菌は妊婦にもうつるの?
溶連菌は妊婦にもうつります。
溶連菌感染症は主に子供がかかります。しかし大人も感染するのです。
特に妊婦は知らず知らずのうちに、免疫力が下がり抵抗力が低くなっている場合が多いです。そうすると溶連菌感染症になることがあります。
大人は子どもと違い発疹が現れないことが
発熱やのどの痛みだけで、風邪やインフルエンザと間違えられやすいのです。
もしも家庭内で溶連菌感染症を発症した方がいる場合は、ただの風邪と思わずに自分もそうでないか検査を受けることをおすすめします。その際は、家族に感染者がいるむねを医師に伝えてくださいね。
溶連菌の妊婦ならではの症状はあるの?
溶連菌の一種であるB群溶血性連鎖球菌は、3割の成人の腸内にいるといわれています。B群連鎖球菌は妊娠していない方が感染した場合は、膀胱炎などを起こすその他の細菌と変わりありません。
ところが抵抗力が落ちている妊婦にとっては危険な菌になってしまうことがあります。
妊娠前に万が一産婦人科の溶連菌検査で陽性が出たら、すぐに治療するようにしましょう。
妊婦がB型溶血性連鎖球菌に感染すると
- 細菌性膣炎
- 切迫早産
- 前期破水
これらへのリスクが格段に上がる可能性があります。
細菌性膣炎
細菌性膣炎とは普段から膣の中にいる細菌・雑菌が増えておこる膣炎です。
無症状のことも多く、若い女性の10%が細菌性膣炎だと思われます。
また、妊婦においては特に細菌性膣炎になりやすく20~30%がかかるといわれています。
細菌性膣炎にかかっても半数以上は無症状です。灰白色のオリモノが出たり、炎症がひどい場合は排尿時に尿がしみて痛みがでたり、尿道周辺に違和感を感じたりすることもあります。また、膣の入口付近にかゆみを感じることもあります。
切迫早産
妊婦が溶連菌感染症にかかると、異常事態を体が察知して「赤ちゃんにとってお母さんの子宮内は危険だよ」と判断。早く赤ちゃんを外に出そうとしてしまいます。そのため切迫早産をおこして、流産のリスクが高まるのです。
早産になると生まれてきた赤ちゃんの体の機能が未発達となり、さまざまな障害や合併症をおこしやすくなります。
赤ちゃんにはお母さんのお腹の中で過ごす時間がとても大事なものなのです。1日でも長くお母さんのおなかのなかにいられることが、赤ちゃんの生存率に大きく関わってくるのです。
前期破水
陣痛が始まる前に破水してしまうことです。通常破水は陣痛がはじまって分娩間近におこります。陣痛が始まり子宮口が全開する前におこる「早期破水」とも区別されます。
前期破水は陣痛がおきていないので、破水した後も出産に繋がらない可能性も高いのです。しかし赤ちゃんを守る卵膜が破れてしまった証拠なので、子宮内に細菌が感染するリスクが高まるのです。
なお、生産期の前期破水は何の原因もなくおこることがあります。
溶連菌の胎児への影響は?
実は妊婦への影響よりも深刻なのが、胎児への連鎖球菌の影響なのです。
胎児は通常はお母さんのなかで羊水に守られており、直接感染の危険はありません。ところが、羊膜に感染すると前述の切迫流産や前期破水のリスクを高めてしまうのです。
また、胎児が賛同を通るときに感染するリスクもあります。
溶連菌の保菌者のお母さんから生まれた赤ちゃんからは、
約50%の頻度で溶連菌が検出されるそうです。そのうち重度感染症を発症する赤ちゃんは、0.1%以下です。
発症時の症状は
- ミルクの飲みが悪い
- 呼吸が早い
など目立ったものではありません。
溶連菌の妊婦は薬は飲めるの?
溶連菌の治療には抗生物質が欠かせません。
そのため妊婦であるとしても抗生物質が処方されます。
但しその場合、妊婦には胎児に影響のない抗生物質が処方されますので、安心してください。
一般的には抗生剤の膣錠(膣に入れる錠剤)を使用します。これの副作用は膣内や外陰部が薬にかぶれて痒くなる程度だそうです。膣錠だけで陰性にならない場合は抗生剤の飲み薬も使います。
これらの治療をおこなっても陰性にならない場合
出産のときに抗生物質を点滴して、赤ちゃんへの感染を予防すれば経膣分娩ができます。これで赤ちゃんへの溶連菌の感染率を20%以下まで減らせるといわれています。
妊婦さんにおいては妊娠中の検査をきちんと受け、早期に発見することがとても大切になります。
溶連菌にうつらないための対処法
B群溶血性連鎖球菌は直腸内に常在する菌の一つです。そのため予防するのは困難と考えられています。
ところが、一時的に保菌者になっても自然と陰性になることもしばしばみられます。
これは体の免疫力によって自然に菌がいなくなると考えられています。つまり、体の抵抗力が落ちないように日常生活を気をつけることが予防に繋がるのです。
また、便に混ざって溶連菌が排出されることがあるので、肛門を触った手で外陰部を触らないようにしましょう。性行為でも感染の可能性があります。性行為の前にはお互いにシャワーを浴びるなどして清潔を心掛けましょう。
規則正しい生活を送ることや、通気性のいい清潔な下着を身に付けることも大切です
最後に
妊娠しているとどうしても免疫力が落ちてしまいがちです。
第2子、第3子を妊娠中のお母さんは先に生まれた子どもたちの面倒もみないといけないかもしれません。
ついつい無理をしてしまいがちでしょうが、なるべく規則正しい生活を送って、ご自身の免疫力を高めるようにしてください。それが生まれてくる赤ちゃんの健康に繋がるのだと思います。
また、少しでも体調に不安がある場合は早期に医療機関に相談してみてくださいね。
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