扁桃腺は通常4~8歳位の時期に最も活発となり大きさも最大になりますが、一般的には徐々に小さくなり大人になれば殆ど分からない位の大きさになります。
小さい頃によく発熱するのはこの扁桃腺が影響しており、大人になるにつれ風邪を引いてもなかなか高熱が出ないというのは扁桃腺が小さくなるからなのです。
それでは、扁桃腺が大きいとどんな影響があるのでしょうか?
扁桃腺が大きいとどんな影響がある?
扁桃腺は通常大人になると小さくなりますが、ある程度の大きさを保っている方もいます。
口蓋扁桃が大きくなる事を「扁桃腺肥大」と言い、一番の弊害は「いびき」と「睡眠時無呼吸症候群」になる恐れです。
「いびき」は分かるけど、「睡眠時無呼吸症候群」で何?
意外と自分では気付かない「いびき」
空気の通り道である上気道が狭くなると、空気の抵抗が強くなりそれが原因でいびきとなります。
無呼吸症候群では特に、無呼吸の状態から呼吸が再開する時に大きないびきをかくのが特徴です。
無呼吸症候群って何?
無呼吸症候群の方は、睡眠中に起きる無呼吸により必要な酸素を取り込めない状態になります。
重症の方では、日中起きている時と比べて酸素の必要量が約半分程度しか血液中にない場合があります。
血液中の酸素が約半分と言われてもピンと来ないかもしれませんが、高い山に登った時に酸素が薄くなり、体が苦しくなって来るのと同じ状態です。
高い山とはエベレストが分かりやすいでしょう。毎晩、睡眠中にエベレストに登っていたら体がもちません。
無呼吸症候群になると実際どうなるの?
・日中の睡魔
・集中力と記憶力の低下
・いびき
「いびき」をかいて寝ていると周囲の人は単純に「疲れて熟睡しているから、いびきをかく」と理解しがちですが、実はそうではなく、酸素が十分に吸収されていない為、体も脳も疲れは取れていません。
そして、意外と熟睡も出来ていないのです。日中に起きる睡魔は、必要な時間に熟睡出来ていない事と疲れが取れていない証拠となります。
そうなると当然、集中力も記憶力も低下するという事になります。
扁桃腺を切除している人がいる理由
年に何回も扁桃腺炎を繰り返し高熱を出している場合には、手術による摘出を検討する事になります。
扁桃腺のくぼみに細菌が蓄積され体の抵抗力が落ちた時に発熱をしてしまいますので、原因となる扁桃腺自体を切除してしまう訳です。
扁桃腺炎が原因で他の病気を引き起こすのを予防する意味もあります。
それを「扁桃病巣感染症」と言います。
扁桃病巣感染症って具体的にどんな病気があるの?
・関節リウマチ
・IgA腎炎
・胸肋鎖骨過形成症 など
扁桃腺を切除する事で、扁桃腺が原因で起きる病気を予防する事が可能となります。
扁桃腺が大きくなる病気
扁桃腺が大きくなる理由は3つあります。
体の成長過程で生理的におきる肥大
扁桃腺はもともと外部からの侵入を防ぐ防御機構の一つですから、幼少期に免疫を完成させるために発達し、肥大するのはもう致し方のないことです。
ウイルスや細菌の侵入による肥大
インフルエンザウイルスや風邪に感染した場合に喉の痛みが出現する事があります。
これが扁桃腺炎と言われるもので、ウイルス侵入に対して攻撃している証拠となります。ウイルスや細菌と戦うために自ら肥大しています。
遺伝や体質によるもともとの肥大
遺伝や体質により常に肥大している人もいなす。
こういう場合は、少しの疲労や体調不良の時に弱い菌が侵入しただけでも扁桃腺が反応して肥大してしまいます。この場合、「慢性扁桃腺炎」と診断され、治療の対象となって行きます。
子供のうちはよく熱を出し受診の度に医師から「扁桃腺だね」と言われ、納得する親御さんも多いかと思いますが、大人になってからも繰り返す場合には扁桃腺が原因で違う病気の発症も起こり得ますので、キチンと医療機関に相談する事をお勧めします。